抗生物質について・その2

抗生物質が初めて発見されたのは1929年。

アレクサンダー・フレミングがアオカビからペニシリンを最初に発見した。

この発見は偶然だったが、効果は素晴らしく人への毒性のない感染症の特効薬として大評判になった。

家畜の飼料への抗生物質の添加が始まったのは1950年代。1960年代には世界中に広がった。

治療も予防もできる!成長も早くなる!!奇跡の薬!!ってな具合。

しかし。

抗生物質は実に素晴らしい薬ではあるが、これを使うと必ず耐性菌が発生する。

この耐性菌が一体なにかというと、抗生物質など細菌に対して殺菌する作用をもつ薬剤に抵抗性を示す細菌。同類の細菌に対して有効な薬剤がまったく無効である細菌。

遺伝子の突然変異または新しい遺伝子を獲得することによって耐性形質が発現され、このような遺伝的変化によって生じた菌が耐性菌である。

実際に、1941年にペニシリンが実用化された数年後には、すでにペニシリン耐性菌が出現していた。

その対策のために開発されたメチシリンにもメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(いわゆるMRSA)が出現。

難しいので簡単に言うと、

今までは黙って殺されてました。でももう殺されたくありません。
殺されないように強く生まれ変わりました。みたいな?

そうやって【抗生物質】→【耐性菌】→【耐性菌を殺すための新しい抗生物質】→【それに殺されないパワーアップした耐性菌】のイタチごっこが繰り返された結果、

医療現場で使われる複数の抗生物質が効かない多剤耐性菌なるものが出現した。

前回、人間よりも家畜に対する使用の方が多いということを書いた。

使用が多い分、耐性菌が生まれる確立も高い。

畜産現場で生まれた耐性菌が肉や卵などの畜産製品に残留もしくは付着して病院に届き、これを食べた患者さんが耐性菌に感染し、病気になる可能性だってある。

病気の人が多く集まる病院では感染症が発生しやすい。

注射や手術などの医療行為には、体内に病原体が侵入するリスクが高いうえに
しかも抵抗力の弱った患者が多い。

多種類の抗生剤を使用する病院では多剤耐性菌が広がる危険性はとても高く、
耐性菌が院内で蔓延した状態が院内感染症として問題視されている。

こうした耐性菌の逆襲にあい、1969年の英国議会は、家畜への抗生物質の使用を制限することを勧告したスワン報告を発表。

EUではペニシリンなどの人の医療に使われる抗生物質を、家畜の飼料に添加することを止めた。

手術後の感染予防に使われる抗生物質が効かないとなれば、これはもう一大事。

奇跡の薬の大きな落とし穴。

奇跡の薬を乱用したことによって耐性菌が生まれ、抗生物質が効かない。死なずとよかったはずの感染症で命を落とす人が日本では1年間に約2万人。欧米諸国では8万人を越える。


身近なところで言えば、子供の中耳炎やとびひが治りにくくなった。

今まで効いていたはずの抗生物質が耐性菌のせいで効かなくなって来ているようだ。

ただお解り頂きたいのは必ずしも抗生物質が悪い!使ってはいけない!と一概には言えないということ。

耐性菌が生まれてしまうリスクはあるが、抗生物質がこれまでたくさんの命を救ってきたこともまた事実なのだ。

問題は乱用してきたことにある。

殺される菌が生き残ろうとする力を侮ったことにある。


以上、抗生物質について・奇跡の薬の落とし穴でした。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

福田果樹園
2012年04月16日 02:19
すばらしい。よくまとめてあって面白く読ませていただきました。ありがとうございます。
ゆきえ
2012年04月20日 08:22
副大臣果樹園さん。
コメントのお返事が遅くなりました!お褒め頂きありがとうございます!
ゆきえ
2012年04月22日 20:56
福田果樹園様・・・
予測変換が無駄に働いたせいで宛名がおかしなことになっておりました(笑)すみません!!